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【感想】150年前のあなたへ。「古典×現代2020 時空を超える日本のアート」訪問記。【感じたことまとめ】

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こんにちは。荷物運び用荷物(@nimotsu_hakobi)です。

今回は、「古典×現代2020 時空を超える日本のアート」に出かけてきました!

 

目次

 

「古典×現代2020 時空を超える日本のアート」ってどんな特別展?

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国立新美術館で開催されている、「古典×現代2020 時空を超える日本のアート」に行ってきました。久しぶりの国立新美術館にもうドキドキです。

当展覧会では、古典にあたるアートと現代のアートが対にになるように展示されています。現代のアーティストがどんな着想を得ているのか、を考えながら見ることで楽しめます。

 


感染対策

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見たことないくらいガラガラでした…!

やってない日にちに間違えて来ちゃったかも、と不安になるレベルです。

入館に際しては検温もありましたし、そもそも日時指定制なので混まないようになっているのだと思います。

少し寂しい感じもしますが、混雑からは解放されて大変鑑賞しやすい状況です。

 


セクションごとの感想

現代アート、私はあまり見る機会ないのでいつもより難しいですね。

進路に沿ってそれぞれの感想や考えたことを述べていきます。考えたけどようわかりませんでした、っていうのもあるのでそこはごめんなさい…。

また、ネタバレに関してです。「ここをネタバレすると楽しみが減ってしまうだろう」と思われる箇所は伏せますが(映像や演出系)、それ以外の事前に知ったからと言って楽しみが半減するわけではないと判断した箇所は書きます。要は読んでから行っても楽しめるということですが、ネタバレが嫌いな方はスルーしてください。

 

1.仙厓×菅木志雄(すがきしお)

 

 

 

って何を表すと思いますか?

 

ちょっと私はよくわかりませんでした…(泣)

禅の世界って、ちょっとよくわからないんですよね。誰か解釈を説明してください…。

 

2.花鳥画×川内倫子(かわうちりんこ)

これは普通に楽しめました!いろんな何気ないシーンを絵で切り取ることと写真で切り取ることは似ているので、表現方法が違うだけの作品が並んでいる自然なセクションでした。植物や動物、人間の赤ちゃん、自然現象がたくさん切り取られています。琳派や円山応挙が描いた小さな虫や花、草の絵と近い世界です。

解説には、「それ自体と対峙することと、写し切り取ったものと向き合うことは違う体験だ」という内容の言葉があります。作品化されたモノは、製作者の意図が介入するので、そこである側面が強調されるのだと思います。だからこその、そのアーティストにしか作れない唯一無二の作品なんですよね。

ヒトもチョウも花も、生があり死があります。生をめいっぱい楽しむ生けるものたちの力強さや喜びを切り取ることで、身の回りに実は溢れているたくさんの小さな奇跡を示してくれているのではないでしょうかね~。

 

3.円空×棚田康司(たなだこうじ)

円空とのコラボ企画です。双方に共通するのは、一木造り。作品の解説パネルは田根さんからの円空へのメッセージみたいな内容なのですが、私はちょっと泣きそうになりました。「あなたに影響されて、背面無視の像を作っている」など…。私淑という形で受け継がれた琳派のように、誰かの作品が後世の誰かに影響を与えている。もう声は届きませんが、作品を並べることで交流をはかっているのだと思いました。

 

  • 円空/聖徳太子立像(南無仏太子)1軀/江戸時代・17世紀

可愛いですね…!曲げた足、自信に満ちた顔、おだんごがキュートですね。見た人を笑顔にさせたかったんだろうなあ。

 

  • 円空/善女龍王立像 1軀/江戸時代・17世紀
  • 円空/善財童子立像 1軀/江戸時代・17世紀
  • 円空/護法神立像 2軀/江戸時代・17世紀

細長くて複数並んでいると、トーテムポールに似ていますね…!足の甲なんて見てください。ぺしゃんこです。薄すぎる。一応水瓶らしきものを持ってはいます。3本とも、「この細い木の中でいかに仏を表現するか」ゲームに挑戦した結果のようです。限られた材料(一本の木)から仏像を生み出す姿勢は、ものを粗末にせずに全てを生かし切る伝統的な日本人の知恵さえ感じます。

 

ちなみに円空は別の作品で、法隆寺の仏像の天衣の形を真似して天衣を作ったそうです。先人は、さらに先人の作品に影響を受けている、ということですね。

 

  • 棚田康司/鏡の少女/2017年

削りました感を全く隠さないところが、一本の木ありのままを生かして荒い仏像を作った円空との共通性を感じます。

 

  • 棚田康司/宙の像/2020年

ひざの部分に年輪の部分が重なっており、膝小僧のように見えます。木の素材の特徴を生かしていることで、木でしか生み出せない魅力を形成しています。

 

4.刀剣×鴻池朋子(こうのいけともこ)

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刀の歴史ってご存知でしょうか。私は全く知りません。古墳時代は直刀だったらしいのですが、平安時代に入ってからは刀に「反り」が生まれたそうです。

「今回は作品(写真のもの)を2つに分けて、境界の間を振り子が揺れる展示にした」「切るとは、分断の象徴でもあるが、異界との入り口が生まれる意味もある」という解説が印象的でした。

この展覧会のテーマである「古典」と「現代」、この二つの世界を刀が繋げてくれたとも考えられます。

 

5.仏像×田根剛(たねつよし)

ネタバレは控えることにしますが、感じたことだけ。

当時信仰していた人が仏像をどのようにして鑑賞していたか、の手がかりになると思いました。こんな見せ方をされたら、きっと信仰してしまうだろうな、と。

 

6.北斎×しりあがり寿(しりあがりことぶき)

しりあがり氏の解説によると、「遊びは生を肯定し、想像力を高める基本的な態度」だそうです。仕事でも重要ですよね。というか、そうだと思いたい…。私は仕事でも遊びだと思って取り組みたい。

北斎のパロディ作品たちは、Twitter的な要素があってクスクス笑えるような内容になっています。会場で初見、がいちばん楽しめると思うので詳しくは書かないでおきます。斬新な発想の版画ですが、作品に一つひとつ付けられたコメントはごく普通の人みたいで、逆に笑えました。

出版文化の発達した江戸時代は、それまで身分の高い人たちだけのものだった絵や読み物が一般の人々にまで広く深く浸透しました。そして源氏物語や徒然草など、江戸時代の人にとっても古い読み物が一部引用される小説が出てきたり、パロディ化して面白おかしく読める作品が現れました。それによって難しそうな「古典の世界」への敷居は下がっていったのだと思います。テレビ番組から個人の動画までメディアの手法がうんと増えた今、自分の考える北斎を展覧会で表現するというアウトプットは、本質的には江戸時代に起こっていたことと同じだと思うのです。古典はこれからもそのときどきの現代風パロディをされ続けて、世間一般向けに表現され続けるでしょう。

映像作品もあるのですが、私は北斎が本当に世界中で愛されていることを改めて感じて、涙ぐみそうになりました(笑)

 

7.乾山×皆川明(みながわあきら)

花弁をそのままうつわにした作品、今販売しても売れそうですけどね…!乾山のデザインをイメージしたインテリア雑貨のブランドがあったら普通に売れそうじゃないですか?

 

8.蕭白×横尾忠則(よこおただのり)

「あくまでふすま絵なので、取っ手のパーツをつけています」というスタンスが面白いですね。蕭白も変わった絵を描く画家ですが、横尾氏も独特な作風です。私は寒山拾得が好きなので、寒山拾得のモチーフを使った現代の作品というだけで嬉しいんですよね。

 

  • 曾我蕭白/松竹梅図襖 4面/江戸時代・18世紀

大徳寺聚光院にて、狩野永徳の巨大樹(https://souda-kyoto.jp/other/jukoin.html)の描き方からヒントを得て描いたそうです。

 


グッズのラインナップ

 グッズの種類ですが、各作家ごとに定番商品が販売されていました。しりあがり寿さんのカレンダーがちょっと気になりました。

 


「【感想】150年前のあなたへ。「古典×現代2020 時空を超える日本のアート」訪問記。【感じたことまとめ】」のまとめ

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円空が法隆寺の仏像を参考にしたり、曽我蕭白が狩野永徳の絵からヒントを得たように、どの時代を生きた人も当時は現代アーティストだったんですよね。型を学び、型を崩していくそのプロセスは我々にはなかなか見えてきませんが、当展覧会で「古典」側とされている芸術家と現代のアーティストを並べてみることで、一人の人間として現代を生きる我々と同じように何かに影響を受けて、自分なりの作品を作ってきた当たり前といえば当たり前の側面に光が当たったのではないでしょうか。

アウトプットの形が多様化している現代ですが、さらに100年後に開催されたら次の世代は何をどう使って表現するのでしょうか。そのとき私は生きてはいませんが、予想もできない、でもその時代にとってはごく当たり前の手段でまた表象され続けるのだと思うと、私も少しでも長生きして見とかなきゃ!なんて思わされてしまいました。

 

日本美術の初学者の方向けの記事はこちらです。↓

hinachanningyo.hatenablog.com


参考サイト・文献

古典x現代2020時空を超える日本のアート

 

 

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